サッカー・フットサルを愛する皆様
お元気でしょうか?
只今タイのプーケットへ横浜FCのキャンプに帯同させて頂いてます。
初めてユニフォームを袖に通す一生に一回の機会なので、一目観に。
選手がグランドへ登場した瞬間、不甲斐なく泣いてしまいました。
理由はよくわかりません。
ここまで来るのに6年かかったなあとふと思ったら感慨深い物が込み上げてきたとでもいいましょうか。
来て良かった。
良く分からない感情が込み上げてきたと同時に ん? 前にもこんな感情あったな・・・
とふと昔の事を思い出しました。
お久しぶりのペルーでの話です。
当時、練習が終わって試合がない日はいつもストリートサッカーに明け暮れてました。
コートは金網で囲まれたコンクリートのコートで基本5対5の今でいうフットサル。
※コンクリートは天下一武闘会のような地面。
一人あたりのエントリー費が¥30なので、1チームで¥150.
ペットボトル1本分だ。
しかしその当時¥150もあれば5人家族のご飯を3食 食べさせられる価値。
仕事がまったくない彼らにとっては娯楽というより生活がかかってた。
とにかく殺気立っていて人間が放つ気迫というものを初めて感じたかもしれない。
そんな殺気を当時のボクはとてもスリリングで楽しんでいた(お恥ずかしい)
さて、
試合が始まるとレフリーのいないそのfootballはなんでもあり。
平気で回し蹴りが飛んでくる。
腕を引っ張ったり、足をガツガツ削ってくるのは当たり前。
そしてもう一つは口喧嘩。
これに負けたらメンタルは向こうの勝ち、 挑発に乗ったら負けという事を初めて学んだ。
ゴールが入ると「いや!その前にファウルがあった!」 なんて始まって一向に試合が再開されない。
毎度のごとくボクは地面に座って口喧嘩が終わるのを待つのが日課でした。
そんなスリリングのあるストリートサッカーが楽しくて仕方なかったある日、
僕が住まわせてもらってた家の2軒隣に住んでたタターロという15歳の少年がいました。
彼は無類のサッカー好きでいつも僕の試合の事を沢山聞いてきては目を輝かせていました。
けれど彼は一度もストリートサッカーでサッカーしたことがない。 試合に出たことがない。
片足しかないんです。
小さい頃に事故に遭ってそれからずっと片足の生活だったと。
彼自身、何度か頼んではみたものの
彼を入れる=負ける可能性が高くなる という判断から15年生きてきて一度も勝利、いや敗北すら経験した事がなかった。
そこでいつも出るメンバーにおこがましい気持ちではなく、エントリー費は全部出すから彼を入れてもらえないかと話した。
みんな快く引き受けてくれた。
ストリートサッカーではあるがいつもギャラリーは80人~100人はいた。 みんな仕事がないのだ。。
そして初めて彼を見た観客はこう言った。
「傘が走ってる」
みんな指を指して腹を抱えて笑っていた。
ブチ切れそうになった。 いやブチ切れてた。
しかし怒って試合を止めたらタターロのデビュー戦が台無しになってしまうと思いぐっとこらえたのを今でも覚えてる。
そんな相手チームはお構いなしに彼の足を蹴って転ばす。彼にボールが行くのを待ってるかのようにそこだけ狙われた。
また観客が大笑いする。
こんな気分の悪いサッカーをしたのは初めてだった。
試合は1-3で負けた。
帰り道何度もボクに謝ってきた。
思いっきり怒鳴った。
「サッカーは一人でやるスポーツじゃないんだ! 勘違いするな!!!」
あえてきつく言ったと思う。
そして2試合・3試合・4試合やって一度も勝てなかった。
その都度誤ってくる彼に今度はげんこつを食らわした。
ゴールのイメージだけ考えろ!!足がダメなら頭があるだろ!身体があるだろ! と。
そして全く勝てない日々が続いた5試合目。
コーナーキックからのボールを彼がダイビングヘッドで飛び込んだ。
GOOOAL
人生初めてのゴールにタターロは大の字になって倒れた。
人目もはばからず大声を出して彼は泣いた。
そして一番驚いたのは、今まで傘が走ってると野次を飛ばしてた観客がスタンディングオベーション。
「よくやった!」 「ナイスゴール!」
みんな彼の事実は知ってたんだ。
更には相手チームも「この試合おまえらの勝ちでいいよ。」と試合が途中にも関わらず引き上げていった。
言葉が出ない時ってホントに出ないんだな。。。
良く分からない感情が込み上げてきました。
形なんてなんでも良くてゴールはゴール。
ゴールを取るのがサッカー。 ゴールこそが一番の喜びだ。
そしてその日は初ゴールという事で彼にテキーラを浴びせるほど飲ませた笑 (日本はお酒は20歳からっ)
この時初めて、将来 「五体不満足な人でも沢山練習した成果を人前で見せてサボいぼが経つような場を作ってあげたい」 と思えた。
それから時を経て今の仕事に到ってますが、まだあの時の思いは消えてないです。
いつかsoccerjunkyを通じてこの時の思いを実現させたい そう思います。
ゴールはゴール。
NICE GOAL TATALO !